日本陸軍軍医学校防疫研究報告抄録
担当者氏名 岡田麗江
作成年月日  
 
著者 渡邊廉
著者肩書 第十二防疫給水部 陸軍軍医中佐
著者2  
著者2肩書  
著者3  
表題 歩兵第百八聯隊に発生せる食中毒原因調査
副題  
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
478
種類 叢報
分類1 437-2
分類2  
分類3  
分類4  
受付 昭和16.4.12
印刷数  
米国メモの有無
米国メモ  
開始頁 478
終了頁 478-16
索引用人名 渡邊廉
索引用方法  
索引用材料 食中毒
索引用対象名 歩兵第百八聯隊
索引用疾病名  
索引用地名 広東北郊
索引用その他  
参考文献(邦) 0
参考文献(欧) 0
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背景 1月16日早朝広東北郊歩兵第百八聯隊に食中毒様熱性病患者が多数発生。
目的 広東北郊歩兵第百八聯隊に発生した熱性疾患の本態を探究し、これが謀略に因るものか否かを調査する。
方法 防疫斥候、部長以下同隊に出張隊附医官と協力し患者の可検材料の採取、原因調査資料の蒐集。当時当部は太平場警備隊に発生した食中毒関係資料の検索に忙殺されていたので今次蒐集した可検材料の検索は大部分を南支那防疫給水部に委託。
材料あるいは対象 患者の採取検体、宿舎、給水と炊事状況、保存食その他の食品及び原料
研究対象(実施)年月 1月16日早朝
場所 広東北郊歩兵第百八聯隊
結果 1.患者発生状況は、14日から18日の間に聯隊本部他の小、中隊合わせて111名発生。将校、軍旗護衛小隊に発生皆無。発生率は給養人員の約13%である。2.症状は、悪寒、悪寒旋律、高熱、頭痛あり、下痢を伴うが腹部不快少なく、腹痛はない。咽頭粘膜発赤、扁桃腺腫大、舌苔、心寡部圧痛など。3.発生原因として、聯隊の状況、宿舎、給水は問題なし。給食使用の豚肉1片より豚コレラ菌検出。患者の胆汁培養では、チフス菌1名、A型パラチフス陽性者1名あり、糞便検査より豚コレラ菌4名、チフス菌1名検出。これらは病原菌保有者の摘発である。凝集価の上昇にC型パラチフス(本試験ではアメリカ型豚コレラ菌とす)にみられた。マラリア原虫検索を全員に実施し三日熱型原虫陽性者11名、熱帯熱型陽性1名あるも症状はなんら異ならない。
考察 1.原因食特に豚肉について:1月8日流花橋野戦倉庫より生豚を受け、12日屠殺し、肉は冷蔵庫保存後使用。汚染肉に使用した庖厨具の汚染による、また煮熱不十分の存在も否めない。生豚は大部を江村、大同かん方面より、一部は大和市、竹料、大平場方面より入手し倉庫において生育観察の余裕無く部隊に交付される。今回は、健康豚に存した豚コレラ菌によるか、病豚に存したものに因るかは推断し難い。2.謀略に対して:部隊内には謀略によるものを疑える物がない。自然菌か人工的接種菌かは研究を要するもので、諸所見から謀略を否定するほうが妥当。3.その他参考事項@健康豚の菌検出成績は、広東市屠殺場での屠殺豚二百数十頭につき南支那防疫給水部の菌検索成績に因れば、現在まで13.3%に豚コレラ菌(アメリカ型)陽性。A類似症例の検討 a.南支で昭和14年2月在沙河工兵第十二聯隊に発生の食中毒は豚肉を使用、また変死した豚も調理。豚コレラ菌と一致。b.太平場警備隊の一部に発生した食中毒。咽頭所見乏しく、下痢症状少ないことが特徴。原因菌は確定できていない。4.将来に対する意見@豚肉使用上留意すべきこととして、屠殺前一定期間観察。屠殺時腸管内容、その他による肉の汚染予防、煮熱など調理方法、調理器具の区別など。A食中毒発生時可検材料の採取は機を失せず、且つ広範囲に行う。
結論 今次広東北郊歩兵第百八聯隊に発生した熱性疾患は豚コレラ菌に因する食中毒であり、謀略によるものではないと判断。
備考