担当者氏名 大野研而
作成年月日 06・1・4
報告フェース情報  
著者 太田藤市郎
著者肩書 陸軍軍医学校軍陣防疫学教室(主任 井上大佐)
著者2 小林六造
著者2肩書 担任指導、嘱託、医学博士
著者3  
表題 PB64免疫血清の感染防御力に関する研究
副題  
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
 出典社名  
573
なし
種類 原著
分類1 428−4
分類2 340−28
分類3  
分類4  
受付 昭和18.6.30
印刷数  
米国メモの有無  
米国メモ  
頁数 26
索引用人名 木村将義、井口昌雄、竹内実
索引用方法  
索引用材料  
索引用対象名  
索引用疾病名  
索引用地名  
索引用その他  
参考文献(邦) 3
参考文献(欧)  
 
31
抄録様式1  
背景 ガス壊疽に関する研究は第一次大戦を機に画期的な進歩を見たがとくに1917年Bull and Prichett による
  ウエルシ菌体外毒素の発見にひきつづき、この毒素に対する抗毒素血清の応用はさらにこの研究を促進させ、
  効果の優秀な各種の多価抗毒素血清の出現を見るにいたった。日本でも日支事変の以前は陸軍軍医学校を
  始め、各血清製造機関で、いずれもそれぞれ従来から使用してきた免疫用菌株で、無統制かつ抗毒素価の様々
  な製品を作っていたが、この事変の勃発後は陸軍軍医学校だけでなく伝染病研究所、北里研究所、熱帯医学研
  究所その他で作られた血清も、軍需用として使用せざるを得なくなった為、免疫用菌株の統一、抗毒素血清の
  改善向上および含有単位の均一化が要求されるようになった。昭和16年4月に陸軍軍医学校主宰で行われた
  第一回ガス壊疽血清委員会で、ウエルシ菌免疫用菌株としてPB64株を採用し、含有単位は1cc100陸軍単位
  と決定され、各所製品の均一化を見るにいたった。PB64株はNIHで保存されていたもので1939年慶大小林
  教授が北研に持参されその後免疫用菌株として前記の各所で使用されることとなったものである。ところが、井口
  および木村により、ウエルシA型菌に属すると記された一菌株・A株(北研所有)の全培養液とウエルシA型菌免
  疫血清で感染防御試験を行ったところ、モルモットは防御しえたがマウスは防御し得なかったと言う報告があり、
  PB64免疫血清が果たして人体に感染・発症させるすべてのウエルシ菌によるガス壊疽を予防または治癒させ
  得るか否かについては解明されていない。もしヒトがマウス系の動物であればたとえA型菌免疫血清の接種を受
  けても、このような菌株の感染によれば死ぬことを防止できないわけで、PB64免疫血清がウエルシ血清製造用
  免疫菌株として適当であるか否かを検討することはきわめて重要であると考える。
目的 支那、満州その他の野戦地より送られた土壌から検出したものおよびその他各種材料から分離し得たものなど、
  百数十種のウエルシ菌株とPB64免疫血清とで、マウスおよびモルモットで感染防御試験を行い、この血清の
  感染防御力に関し知りえたことがあるので、ここに報告する。
方法 第一章・予備試験・第一節・可検材料よりウエルシ菌の分離・略、第二節・感染防御試験に使用するウエルシ菌
  (PB64)免疫馬血清・略、第二章・感染防御試験・第一節・感染防御試験用動物・マウスとモルモットを使用。
  第二節・感染防御試験用血清・第一章第一節により得たPB64株馬免疫血清を滅菌生理食塩水で希釈し、原液
  、10倍、50倍、100倍、および500倍希釈液を作る。第三節・感染材料・攻撃感染材料として可検菌の全培養
  液を使用。第四節・感染防御試験実施方法・まず前述の感染材料を滅菌生理食塩水で希釈した各種濃度の希釈
  液0,2ccずつをマウスとモルモットの大腿部筋肉内に注射しそれぞれに対する最小致死量を測定するとともに、
  一方各種段階に希釈した防御試験用血清0,2ccずつをマウスとモルモットの右大腿部筋肉内に注射しておき、
  注射後ちょうど24時間目にそれぞれの最小致死量の3倍量を含んだ全培養液を右大腿部筋肉内に注射し、4日
  間にわたって試験動物の生死を観察した。
材料あるいは対象  
研究対象(実施)年月  
場所  
結果 第三章・感染防御試験成績・(表2−25)・この感染防御試験はマウスとモルモットに対しそれぞれ
  の最小致死量の3倍量を含む全培養液で攻撃したあとその生死により判定した成績で、使用した
  マウスの体重に比べてモルモットは約15倍に相当し、両動物とも同量の血清で前処置されている
  ので、モルモット体内の血清の濃度はマウスのそれの15分の1に希釈されているものと考えるべ
  きで、前記の成績を体重比に応じて換算すると表26のようになる。これは当該血清のマウスに
  対する防御力を1とした場合モルモットに対する防御力の程度を示したもので、その差の範囲は
  1ないし1500倍の極めて広範囲にわたることが分かる。すなわち一般ウエルシ菌株はPB64
  免疫血清により水野(1)株のように、その全培養液はマウスとモルモットのいずれでも感染を阻止
  されるが、PB64の前処置に対しモルモットには有効だがマウスにはほとんど無効である済南(3)
  株、またモルモットおよびマウスのいずれも救助し得ない「ガーゼ」(2)株のような特異な菌種の
  あることがわかった。よって表2−25の中から、感染防御試験成績の極端に異なったつぎの2株
  を選定し、家兎でそれぞれ当該抗毒素血清を作りおのおのの毒素・抗毒素の中和関係をマウスと
  モルモットの体内で検査し、この差異を起こす原因を究明しようとした。第四章・「ガーゼ」(2)株お
  よび済南(3)株毒素と当該家兎免疫血清とで行う動物体内中和試験・第一節・毒素の製法・略。
  第二節・家兎免疫血清の製法・略。第三節・マウスおよびモルモット体内中和試験方法・略。(表
  28−31)。「ガーゼ」(2)、済南(3)およびPB64硫安毒素液で、同一PB64血清の単位価を、
  マウスおよびモルモットで測定したところそれぞれ一致した成績を示した。また前記各硫安毒素液
  で当該菌株家兎免疫血清単位を測定した成績も両動物・各菌株いずれにおいても一致した。
考察 「ガーゼ」(2)および済南(3)の2菌株で実施した以上の実験成績から考察すると、「ガーゼ」(2)および済南(3)
  株のモルモットおよびマウスにおける感染防御成績が、水野(1)およびその他一般ウエルシ菌株と著しく異なっ
  った結果を示すのは、これら両菌株の産生毒素が、一般ウエルシ菌産生毒素と異なっていることに基因している
  のではないかと推定させる。
結論 1.現在使用しているウエルシ菌免疫血清(PB64株馬免疫血清)の感染防御力を検討する為、各方面より収集した土壌および患者材料について、分離したウエルシ菌株で感染防御試験を行ったところ、大多数の菌株はいずれもPB64免疫血清の前処置によりマウスおよびモルモットの感染致死を阻止したが、つぎのような特異な菌株が得られた。2.すなわち「ガーゼ」(2)株の攻撃に対し、PB64免疫血清はマウスおよびモルモットの致死をいずれも救助し得なかったが
  済南(3)株の攻撃に対してはマウスは救助し得なかったがモルモットは救助しえた。(PB64免疫血清のマウスに対する防御力を1とすればモルモットの防御力は1500倍である)。3.「ガーゼ」(2)および済南(3)株の感染防御試験でこのような成績を示す原因は、生体内ことにマウスとモルモットの体内における産生毒素の相違に起因するのか、おのおのこれら菌株産生毒素に特異のものがあって両動物体内またはマウス体内においてはPB64免疫血清により防御され
  ない関係があるのか、または両動物あるいはマウスの感染致死機転が異なるのかなどの推定がし得るが、そのいずれであるかは不明である。4.将来ウエルシ菌免疫血清製造用免疫菌株としてPB64に代わるべき理想的なものが必要であると考える。
抄録様式2  
抄録  
注目すべき事項  
本文中  
図表  
その他  
脚注・注釈  
備考  
担当者の考察