担当者氏名 大野研而
作成年月日 06・2・27
報告フェース情報  
著者 正来正也
著者肩書 吉住部隊 陸軍軍医少尉
著者2 平野 林
著者2肩書 担任指導 吉住部隊軍医部長
著者3  
表題 中支那における井戸水およびクリーク水の細菌学的所見
副題 ことに「バクテリオファージ」について
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
 出典社名  
668
なし
種類 原著
分類1 112−5
分類2 222−3
分類3 110−223
分類4  
受付 昭和18.10.6
印刷数  
米国メモの有無 なし
米国メモ  
頁数 9
索引用人名  
索引用方法  
索引用材料  
索引用対象名  
索引用疾病名  
索引用地名  
索引用その他  
参考文献(邦) 0
参考文献(欧) 0
 
5
抄録様式1  
背景 中支方面の井水やクリーク水は細菌学的・化学的に汚染され、飲料水として不適当な事はすでに認められてい
  る。昨年上海方面の戦闘中に発生したコレラ回復期患者30名につき、その発病の誘引を調査したところ、いずれ
  も戦闘の間にクリーク水と関係のないものはなかった。汚染した井水またはクリーク水から細菌学的検索により
  病原菌を証明できる事は一般に容易ではない。ところでデレル氏現象「バクテリオファージ」にはただ一種の菌に
  特異的に作用するものと同時に他の菌にも非特異的に作用するものがある。前者を種特異性「バクテリオファー
  ジ」(以下「バ」と略す」)と称し、これを菌型鑑別に応用したり、患者または保菌者屎尿中に病原菌を直接に証明
  し得ない場合でも種特異性「バ」を証明する事によりその菌が明らかに存在する事が認められることは周知のこと
  である。
目的 私は井水またはクリーク水中の「バ」、特に種特異性に作用する「バ」を証明する事により、細菌汚染の濃度及び
  菌種などを知る目的で次のような実験を行った。中支方面の防疫上、多少でも参考になれば幸いである。
方法 「バ」の証明法:略。
材料あるいは対象 *使用菌株:野戦防疫部より分譲を受けたチフス菌、A型パラチフス菌、B型パラチフス菌、C型パラチフス菌、ゲ
  ルトネル氏菌、志賀菌、フレキシネル菌、エプシロン菌、シュミッツ菌、および大腸菌各1株。*検索材料:井水:
  16箇所(蘇州8、嘉興3、常熟2、南翔2、無錫1)、クリーク水:56箇所(蘇州37、常熟5、南翔5、無錫5、崑山
  4)
研究対象(実施)年月  
場所  
結果 接触培養により「バ」を証明したもの、井水では16箇所中2箇所(12,5%)、クリーク水では56箇所中32箇所
  (57,1%)で、直接法では「バ」を証明しえたものは2箇所に過ぎなかった。(以下・略)
考察 1.上海における流行赤痢菌株の状況(1933〜34)を見ると黒屋政彦氏によれば、139株中
  志賀型20%、駒込A型13%、駒込B型41%、シュミッツ型15%、大原型3%、大腸菌7%で、
  近年内地ではほとんど跡を断つにいたった志賀型の流行が著しい事は注目すべきである。満洲、
  青島、朝鮮でも、上海においても志賀型が多いとの事である。私の「バ」の検索によれば井水では
  16箇所中2箇所(12,5%)、クリーク水では56箇所中32箇所(57,1%)にこれを証明しえた。
  そしてクリーク水から種特異性志賀菌「バ」を証明しえたもの5箇所で、種特異性赤痢菌「バ」(広
  義)はクリーク水より9箇所、井水より1箇所証明した。また種特異性Y型「バ」はクリーク水から1
  箇所証明した。検水の時期は3月頃で、赤痢流行の時期ではなかったが、志賀菌及び異型赤痢
  菌により、クリーク水または井水が汚染されている事を実証しえた。2.中支駐屯部隊のチフス性
  疾患中、A型パラチフスが著しく多発した事はすでに第○師団軍医部の統計が示している。昭和
  13年3月頃から南翔駐屯の○兵第36連隊第11中隊にA型パラチフスの散発性流行があって、
  数十名の患者が発生した。その際隔離患者の血液、屎尿および発生中隊の菌検索を命ぜられ、
  その中隊が使用した井水及びその付近のクリーク水も採取して検査した。当時隔離室にはまだ
  10名の疑似患者が収容されており、このうち4名の血液中からA型パラチフス菌を証明し、その他
  同菌保菌者1名を認めた。そして第11中隊第3小隊が使用した井水から、種特異性A型パラチフ
  ス菌「バ」を証明し、同隊第1小隊、第2小隊及び隔離病棟付近のクリーク水より同様に種特異性
  A型パラチフス菌「バ」を証明しえた。なお第11中隊炊事場裏の使用していた井水から、A型パラ
  チフス菌ならびに異型赤痢菌に作用する「バ」を検出した。このように見てくると同隊使用井水およ
  びその付近のクリーク水はA型パラチフス菌によって濃厚に汚染され、同疾患の流行はその井水
  及びクリーク水を使用することにより伝播したものであろう。またクリーク水より種特異性B型パラ
  チフス菌「バ」を証明したものが1箇所あった。3.検出したA型パラチフス菌、B型パラチフス菌、
  志賀菌およびY菌の各種特異性「バ」をそれぞれ接触培養し、10世代に達したものにつき、その
  溶菌作用範囲を検査したところ初代培養のものと同じく依然として厳密に種特異性を示した。4.
  各地における種特異性「バ」の分布状況を見ると、蘇州においてはクリーク水中B型パラチフス菌
  「バ」1箇所、志賀菌「バ」4箇所、Y菌「バ」1箇所、赤痢菌「バ」8箇所(ただし内1箇所は井水)で
  あった。南翔ではクリーク水中A型パラチフス菌「バ」4箇所、(ただし1箇所は井水)、赤痢菌「バ」
  1箇所であった。常熟では志賀菌「バ」1箇所(クリーク水)、無錫では赤痢菌「バ」1箇所(クリーク
  水)であった。蘇州における特異性および非特異性「バ」の分布状況を見ると、人家の密度が高い
  所にあるクリークほど「バ」を証明した事が多かった。
結論 1.中支方面の井水およびクリーク水の「バ」を検索したところ、井水では16箇所中2箇所(12,5%)、クリーク
  水では56箇所中32箇所(57,1%)にこれを証明した。2.井水およびクリーク水より種特異性A型パラチフス菌
  「バ」、種特異性志賀菌「バ」および種特異性赤痢菌「バ」(広義)を証明した事が多かった。3.たまたま南翔の
  我が駐屯部隊にA型パラチフスの散発性流行あり、同隊使用井水及び付近のクリーク水からいずれも同様に種
  特異性A型パラチフス菌「バ」を証明し、その菌により濃厚に汚染された事を認めえた。同地の今回の流行は、
  汚染された井水ならびにクリーク水を使用したことにより伝播したものであろう。
抄録様式2  
抄録  
注目すべき事項  
本文中  
図表  
その他  
脚注・注釈  
備考  
担当者の考察