担当者氏名 大野研而
作成年月日 06・3・10
報告フェース情報  
著者 樋渡喜一
著者肩書 陸軍軍医学校防疫研究室(部長 石井少将)
著者2 小林六造
著者2肩書 担任指導 嘱託
著者3  
表題 野兎病(Tularaemie)皮内反応の研究
副題  
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
 出典社名  
817
なし
種類 原著
分類1 442−6
分類2  
分類3  
分類4  
受付 昭和19.3.17
印刷数  
米国メモの有無  
米国メモ  
頁数 13
索引用人名 Avery,O.T.,Heidelberger,M.,Fjodorff,W.N.,Goldstern,H.,Foshay,L.,ハテネウエル、エル、
  エム、柿原辰雄、小林 正、小原義郎、浅野輝雄、Oz,T.V.,高橋正彦、Zinsser,H.,Tamiya,T.,樋渡
  喜一、太田一郎、川上文雄
索引用方法  
索引用材料  
索引用対象名  
索引用疾病名  
索引用地名  
索引用その他  
参考文献(邦) 8
参考文献(欧) 7
 
2
抄録様式1  
背景  
目的  
方法  
材料あるいは対象  
研究対象(実施)年月  
場所  
結果  
考察  
結論  
抄録様式2  
抄録 緒言:伝染性疾患の診断にアレルギー性皮膚反応が試みられるものは相当に多く、ことに結核におけるTuberk-
  lin反応、鼻疽におけるMallein-反応、梅毒におけるLuetin-反応、腸チフスにおけるTyphoidin反応、波状熱に
  おけるBrucellin(Abortin,Melitensin)反応などはその代表的なものでこれらはいずれも深く研究されその本体
  なども分析的に研究されている。これらの皮膚反応の抗元は、主として陳旧性液体培養の濾液が使用されてい
  る。最近高橋はペストについて、斜面培養菌の加熱死菌液で皮膚反応を実施、良好な成績を得たと報告してい
  る。一方野兎病(Tularemie)についての皮膚反応も試みられているが主として斜面培養菌で菌液を作り、これに
  種々の操作を施して殺菌したものを用いているようである。一方皮膚反応物質の分析においては、Zinsser and
  Parkerの結核菌その他の研究における、Heidelberer and Averyの肺炎菌における、またZinsser and
  Tamiyaの研究などがあって、主として菌体成分または毒素中さく酸で沈殿させたいわゆるNucleoproteinに有
  効物質を認めるがその上清をアルコールで沈殿させたものはResidue Antigenとよび、反応なしとしている。
  柿原は主としてBrucellaについて分析し、Zinsser and Parkerの方法で製作したNucleoproteinはわずかに
  皮膚反応抗元として作用するがResidue Antigenは全くその力がないと報告している。野兎病菌についてこの
  方面の研究は多くないが、Ozは斜面培養菌を溶解してこれからEndotoxinを分離したと報告している。私は、
  患者および既往者について、加熱死菌液で行う皮内反応の特異性と、その診断的価値につき研究し、さらに菌
  体成分中、三塩化さく酸に沈殿する部分とその上清をアルコールで沈殿する部分とに分けて、その皮膚反応有効
  物質はいずれにあるのかを実験したのでその成績を報告する。
  第1章:皮内反応の特異性について・第1節:実験材料および実験方法・略。第2節:実験成績・略。第3節:小括
  ・以上の成績を見ると明らかな野兎病患者および既往者は勿論、自覚的に症状はなかったが血清凝集反応から
  見て既往者で、不顕性に感染したと思われる者で、野兎病菌の皮内反応は相当強度にあらわれ24時間〜48
  時間で発赤の大きさは2cm以上、硬結をともない、ときには4cm、5cmに及ぶものあり。このような患者でも伊
  東氏反応はほとんど陰性である。また他の疾病(性病)で、伊東氏反応およびフライ反応が陽性である者におい
  ても、野兎病皮内反応は陰性である。同時に採血した血清の凝集反応と比較すると、その凝集価と反応の強度
  とは平行しないが、皮膚反応が陽性であるものは必ず凝集反応も陽性と認められる。以上の点から、本野兎病
  皮内反応は特異的で、かつ鋭敏な反応で診断的価値が極めて大きいものといえる。ただしいずれも全身的に感
  冒のような反応を訴えていた。
  第2章:皮内反応有効成分の分析について・第1章に記載したように野兎病菌の加熱死菌はアレルギー性皮内
  反応抗元として極めて有効で特異性も顕著である。しかしその有効物質は菌体成分中どのようなものであるのか
  についてはまだ明らかにされていない。私はその分析を試み、アレルギー性皮内反応有効物質の本体を明らか
  しようとした。第1節:菌体成分の分析法・略。第2節:各分画の性状・略。第3節:各分画の患者および既往者に
  対する皮内接種試験・略。第4節:動物に対する皮内反応・略。第5節:小括・以上菌体を超音波で破壊・抽出し、
  三塩化さく酸で沈殿させたAと、その上清をアルコールで沈殿させたBで実施した皮内反応は、人体においては
  Aの方よりも強度である。しかし、いずれも対照である超音波を作用させただけで,化学操作を加えない液に比べ
  ると、その反応は弱い。家兎においてはさらに高濃度すなわち大量の物質を要するが、AとBの関係は同様で、
  Aの反応はBの反応よりも強かった。
  総括:1.5cc、2mgの菌液として70〜75℃1時間加熱した死菌液を、0,05cc皮内に注射すると患者および
  既往者には著明なアレルギー反応を呈するが、他の疾患の患者にはこのような反応を見ない、すなわち特異性
  は強い。2.反応は全身症状を伴い頭痛、違和感、時に治癒病巣の反応として、腺の腫脹などをきたしたものが
  あった。3.加熱死菌と超音波死菌とについては、同一菌量についての比較は実施しなかったが、他の化学操作
  を加えたものに比べ、いずれも反応は強くその反応の態度には両者の間に大きな差を認めなかった。4.既往者
  についての反応は、血清の凝集素とともに相当長年月存続するもののようで、また皮膚反応と血中凝集素とを
  調べると、不顕性感染と考えられるものもあるようである。ただし凝集価と皮膚反応の強度とは必ずしも平行する
  ものではない。5.伊東氏反応およびフライ反応を同時に実施した成績から見ると、これらの反応は各々その疾病
  に特異的でことに野兎病は明らかにこの皮内反応で区別する事ができる。6.菌体を超音波で破壊したあと、三
  塩化さく酸で沈殿させたものは、原液に比しはるかに弱いが反応を呈する。そしてその上清をアルコールで沈殿
  させたものは、反応がきわめて弱いか、陰性である。前者はたんぱく質の性状を有するもので、後者はいわゆる
  Residue Antigenと同じ成分と考えられるが、後者で弱いながら反応が現れる例があったのは、精製が不十分
  であった事によるか、または反応物質がこちらにも存在する為なのかは不明である。免疫血清に対する沈降反応
  は、両者に著明な差は認めなかった。以上の諸反応は実験的に感染発病(皮膚)させた家兎では、人体に比し
  多量を要するが同様の反応を見ることができた。
  結論:加熱死菌液、超音波殺菌Seitz濾過液および超音波作用後、三塩化さく酸で沈殿させたものと、その上清
  をアルコールで沈殿させたものとで、野兎病患者、既往者および実験野兎病家兎について皮内反応を実施し、
  次の結論を得た。1.加熱死菌液でおこなう野兎病皮内反応は特異性が強く、診断的価値が大きいと認められる。
  2.超音波殺菌Seitz濾過液も同様に皮内反応を呈する。これを三塩化さく酸で沈殿させたものは、弱いけれども
  明らかに反応を呈する。その上清をアルコールで沈殿させたものではほとんど反応を呈しない。3.皮膚アレルギ
  ー反応、血中凝集素は、相当長年月存続するもののようである。
注目すべき事項  
本文中  
図表  
その他  
脚注・注釈  
備考
担当者の考察