担当者氏名 大野研而
作成年月日 06・3・19
報告フェース情報  
著者 山本秀行
著者肩書 陸軍軍医学校防疫研究室(部長 陸軍軍医少将 石井四郎) 主研究者 陸軍軍医少佐
著者2 平野 林
著者2肩書 研究指導 嘱託 医学博士
著者3  
表題 B.C.G.の免疫方法に関する実験的研究
副題  
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
 出典社名  
896
なし
種類 原著
分類1 421−4
分類2 342−21
分類3  
分類4  
受付 昭和19.3.22
印刷数  
米国メモの有無 なし
米国メモ  
頁数 21
索引用人名 今村荒雄、林 武夫、戸田忠雄、島本、箭頭、橋本、楢林兵三郎、中村登、植田三郎、渡辺義政、柳沢謙、有馬
  頼吉、青山、三友義雄、久保、片桐、平田、Calmette,A.,Kolle,Wassarmann,Koch,Romer,Uhlen-
  huth,
索引用方法  
索引用材料  
索引用対象名  
索引用疾病名  
索引用地名  
索引用その他  
参考文献(邦) 22
参考文献(欧) 5
3
9
抄録様式1  
背景  
目的  
方法  
材料あるいは対象  
研究対象(実施)年月  
場所  
結果  
考察  
結論  
抄録様式2  
抄録 *緒言:皇軍の現況と将来にかんがみ、健兵対策、なかでも兵員損耗の首位を占める結核性疾患予防対策が、
  焦眉の急務である事は論を俟たない。特に壮丁年令において結核性疾患死亡率が最高を示す事は文明諸外国
  にその例を見ない、本邦結核の特異な現象であり、もし有効な予防接種の道があるとすれば、皇軍健兵対策上
  これ以上のものはないであろう。これまで結核予防接種に関しては、動物実験あるいは罹患者に対する慎重な
  観察の結果、有毒結核菌の微弱な感染は、個体に一定の結核免疫を生ずるものである事が立証され、人工的に
  人類に対する能動的感染防御力を成生することが可能であるとの、Jennner,Pasteur以来の考えに基づき、多
  くの医学者より、結核死菌、結核菌抽出物質、結核菌に類似する非病原性抗酸菌、有毒結核生菌またはその毒
  性をやや弱めたもの、高度に毒性を弱めた結核生菌を用いるものなど、結核免疫ないし予防接種剤を獲得するた
  めの努力が傾注された。これら多数の実験的研究の結果、最近注目を集め、広く応用されようとしているのは、
  Calmette et GuerinのBCGである。BCGに関してはわが国でもその研究報告は相次いでおりこれまでに日
  本学術振興会は結核に関する委員会を設けて、重点を人体の結核菌に対する抵抗力増加を目的とする予防接種
  におき、厳密な人体および動物接種による実験的研究の結果、昭和18年3月、BCGは有力な免疫効果を生ずる
  ものとして一般に実施できる事を認め、軍隊、官庁、学校、工場、会社など集団生活者、とくに青年層に対しBCG
  接種を施行されるよう建議された。陸軍でもその使用が承認され、逐次大規模に採用され、認むべき成果を挙げ
  つつある。ところでBCGに関する基礎的実験は陸軍では、林武夫少佐の研究発表があるだけでまことに寂しく、
  私はBCGの免疫方法に関する研究、とくに増量した同時皮内分割接種および反復接種による結核感染防御効果
  の、現在の実施法との比較試験を命ぜられ、ここにその成績を得たので報告する。
  第1章:実験方法・略。第2章:観察事項ならびに観察方法・略。第3章:実験成績・第1節・体重の変化、第2節・
  BCG接種による局所の変化ならびに所属リンパ腺腫脹の有無、第3節・BCG接種によるツベルクリン反応発現
  の状況、第4節・人型結核菌感染局所の変化、第5節・人型結核菌感染により、体表から触知しうるリンパ腺の変
  化、第6節・剖検前ツベルクリン反応の状況、第7節・肉眼的病理解剖所見(いずれも内容は略)。
  第4章:総括ならびに考察・モルモットを用い、BCGを増量的に同時分割ならびに反復接種し、これらが結核感染
  に及ぼす効果を現在の実施法と実験的に比較観察した。すなわちモルモットを5群に区分し、第1群にはBCG
  0,04mgを1ヶ所に、第2群には0,04mgずつを4ヶ所に、第3群には0,04mgずつを8ヶ所に同時に皮内接種し、第4
  群は0,04mgずつを1週間ごとに3回反復皮内接種し、第5群はBCGを接種せず対照群として、いずれもBCG接種
  21日後、第4群は第3回目のBCG接種翌日、人型結核菌の10の-2乗、10の-3乗、10の-4乗、10の-5乗
  mgの4種菌液を各モルモット皮内4ヶ所に同時に感染させ、10週後に剖検し、実験経過中の各種所見とあわせ
  て観察し成績を判定した。その成績をまとめると次のようである。(1)体重の変化:BCGの接種によって、第1及び
  第2群において若干減少したが第3群及び第4群、特に第4群では著明に平均体重が増加した。人型結核菌の
  感染後、BCG接種各群は対照群に比し、いずれも平均体重の増加が大きくとくにBCGを反復接種した第4群で最
  大の増加を認めた。(2)BCG接種による局所の変化ならびに所属リンパ腺腫脹の程度:BCG接種局所は2例で
  米粒大の膿庖を認めたが10日ほどで治癒し各群の間に差異はなかった。反復接種した試験群では、第3回目の
  接種後、Koch氏現象を認めたが数日で全く消褪し、悪い副作用を起こさなかった。所属リンパ腺はBCG接種量の
  増量に伴い、腫脹する傾向があったが、本実験に用いたBCGの増量の程度では、その差異はわずかで小豆大
  以上のものは触知しなかった。(3)BCG接種によるツベルクリン反応出現の状況:BCG接種後3週間以内の所見
  に過ぎないがBCG接種量の増量とともにツベルクリン反応は、早期にしかも強度に陽転し、かつツベルクリン希釈
  濃度により、陽転率に著しい差異を生ずる事がわかった。しかし反応の強度は全例を通じて++以上の反応を示
  したものはなかった。(4)人型結核菌感染局所の変化:BCG接種群は、対照群に比し、一般にKoch氏現象を呈
  して早期に反応が出現した。しかしF10の-5乗mgのように微量菌感染ではBCG接種群でもKoch現象を認めなか
  った。むしろ対照群より局所変化の出現が遷延し、一部では剖検時にいたるまで、何の変化も示さないものもあっ
  た。またBCG接種群においては、一定期日に達すると局所悪化の傾向が停止するとか、治癒傾向を呈するとか、
  ある期間一見治癒したような所見を認めるが、対照群ではこのような傾向はなく最後まで増悪の一途をたどり、
  生じた局所病変も、BCG接種群に比し大きくかつ潰瘍面を露出したものが多い。そして治癒傾向は一般にBCG
  接種量の多いもので著明で、全例中第3群F10の-4乗mg感染局所に、剖検時肉眼上完全治癒1例を認めた。
  (5)結核菌感染により、体表から触知しうるリンパ腺の変化:BCG接種群はBCG自身によるリンパ腺の腫大も加
  わっているのであろうが、対照群に比し比較的早期に触知しうるものを一部に認めたが、一般に腫脹発現時期は
  対照群と大差なく、BCG接種群のリンパ腺腫脹は、感染後6週前後までは対照群と大差なく増大するが、注目に
  値するのはその後の経過で、BCG接種群では、腫脹の程度が緩慢となるかあるいは停止し、とくにBCG接種量
  の大きい第3群と第4群では縮小すら認めるものがあったのに反し、対照群では剖検の時まで、終始腫脹が増大
  の一途をたどったことである。(6)剖検前ツベルクリン反応:一般にBCG接種量の多いほど結核菌感染後のツベ
  ルクリン反応の陽性の程度は軽度で、かつBCG接種群と対照群との間には、反応強度に著しい差異がある。即
  ち対照群は全例4+以上の反応を呈し、かつツベルクリン液注射後剖検時に至る10日間、終始同一程度の反応
  を持続するのに反し、BCG接種群では4+以上を示したものは半数以下で、日を追ってその程度を減じ、剖検時
  まで陽性を持続したのは数例に過ぎなかった。そして剖検所見とあわせて観察すると、ツベルクリン反応の強度
  と結核病変の程度はほぼ平行関係にあることを認めた。(7)肉眼的病理解剖所見:ほぼ剖検に至るまでに観察
  した各種所見に一致し、一般にBCG接種量の多いものでは胸腹腔内リンパ腺および内臓における結核性変化の
  程度も軽度で、BCG接種群と対照群との間に、防御力に相当著明な差異を認めることができた。そしてBCG摂取
  量および接種法の異なる各群間にももちろん差異があり、一般にBCG接種量の増量に伴い病変が軽微となるの
  は明瞭に証明しえたが、その差異が顕著であるとはいえない成績で、全例を通じ結核感染を免れた例はなかっ
  た。ただし興味があるのは、BCGを3回にわたって反復接種した第4群で、接種したBCG量が0,12mgで、第2群の
  0,16mg、第3群の0,32mgより少量であるにもかかわらず、全群を通じもっとも良好な感染防御力を示した点で、将
  来BCGの使用にあたり示唆すべきものがあると考える。
  *結言:陸軍軍医学校防疫研究室で調整したBCG菌浮遊液で、実験的結核感染に対する、増量的分割接種およ
  び反復接種法を試み、現在の実施法と比較検討したところ、その防御力はいずれも現在の実施法に勝り、とくに
  反復接種法で、もっとも優秀な成績を証明する事ができた。
注目すべき事項  
本文中  
図表  
その他  
脚注・注釈  
備考
担当者の考察