担当者氏名 大野研而
作成年月日 06・3・21
報告フェース情報  
著者 山本秀行
著者肩書 陸軍軍医学校防疫研究室(部長 陸軍軍医少将 石井四郎) 陸軍軍医少佐
著者2 平野 林
著者2肩書 研究指導 嘱託
著者3  
表題 非病原性抗酸性菌と結核免疫との関係について
副題  
 出典著者  
 出典表題  
 出典雑誌・書籍名  
 出典頁  
 出典発行年  
 出典社名  
897
なし
種類 原著
分類1 421−5
分類2 424−5
分類3  
分類4  
受付 昭和19.3.22
印刷数  
米国メモの有無 なし
米国メモ  
頁数 17
索引用人名 今村荒男、池田令吾、林芳、日戸修一、戸田忠雄、具原、杉山、渡辺義政、渡辺朱一、玉重忠之、中村豊、内藤
  誠一、占部薫、工藤友太郎、久保、片桐、平田、滝田三雄、寺田正中、野崎実、金子直、佐々木和、比企、羽生
  Aluaezu,,Tavel,Zit,Frey,Hagen,SohngenN.L.,Moller,Friedmann,Romer,Rabinowitsh
索引用方法  
索引用材料  
索引用対象名  
索引用疾病名  
索引用地名  
索引用その他  
参考文献(邦) 19
参考文献(欧) 6
5
4
抄録様式1  
背景  
目的  
方法  
材料あるいは対象  
研究対象(実施)年月  
場所  
結果  
考察  
結論  
抄録様式2  
抄録 緒言:自然界の抗酸性菌、いわゆる非病原性抗酸性菌は、1885年Alvarez/Javelが、健康者の恥垢から分離し、
  恥垢菌と命名したのが最初で、その後Sohngenの培養法が発見されて以来、その種の抗酸性菌は上水、下水、
  植物、動物、人体、糞便、土壌、塵埃など自然界のあらゆるものから分離される事となり、結核菌及びらい菌との
  鑑別上その重要性が増し、研究報告も多数発表されるようになった。しかしこの菌の結核免疫に関する研究はま
  だ多くない。非病原性抗酸性菌を結核免疫および治療にはじめて供試したのはMoller(1899年)で、ついでFried-
  mannその他多数の追試賛成者が現れ、結核感染に防御力があることを認めたが、他方Romer,Rabinowitshらは、
  非病原性抗酸性菌では免疫成立は不可能と主張するなど、未だ混沌たる状況で、今日一般に多数の学者に、
  結核免疫力が獲得できると証明・是認されているのはBCGのみである。結核の免疫はいわゆる感染免疫により、
  あるいは感染とはいえないにせよ少なくとも個体に結核性変化を惹起する事により、はじめて有効な免疫を発揮
  しうるものであるということは、定説であるようである。しかしながら、個体に結核感染を起こさずに免疫を成立させ
  ようとする企図は、未だ多数の医学者により真摯に追求されているところで、最近この実験途中で玉重は恥垢よ
  り抗酸性菌を分離して一定度の結核免疫力があることを報じ、また池田は人系および動物系抗酸性菌に、相当
  著明な感染防御力のある菌株があることを発表した。私はいわゆる非病原性抗酸性菌が、結核免疫にどのような
  関係にあるのかの研究を命ぜられた。それ以来各種多数の非病原性抗酸性菌株を蒐集してまず家兎皮内に接
  種し、膿瘍を形成するような毒力の大きい菌を選出し、これをモルモットに接種しレーメル氏反応、Koch氏現象お
  よび病原性の有無を試験し、更に結核に対する免疫実験を実施し、ここのその成果を得たので報告する。
  第1章:非病原性抗酸性菌の家兎皮内接種実験・略。第2章:家兎皮内接種局所に膿瘍を形成する非病原性抗
  酸性菌のモルモット皮内接種実験・略。第3章:モルモット皮内接種によりレーメル氏反応比較的強陽性を呈した
  非病原性抗酸性菌の結核に対する免疫実験・略。第4章:非病原性抗酸性菌の結核罹患モルモットに対する
  Koch氏現象ならびに非病原性抗酸性菌ツベルクリン液注射による反応について・略。第5章:非病原性抗酸性菌
  の動物実験以外の2〜3の生物学的性状など・略。
  第6章:総括および考察・非病原性抗酸性菌75株を用い、まず家兎の皮内に接種して膿瘍を形成する菌株を選
  出し、これをモルモット皮内に接種して、レーメル氏反応ならびに病原性発現の有無の程度を観察し、最後にレー
  メル氏反応中等度以上の陽性成績を示し、しかも内臓及びリンパ腺に病原性を認めない菌株5株と、レーメル氏
  反応陰性であった菌1株を決めて免疫供試菌とし、BCGとの結核菌感染防御力の効果を結核菌のみの1群を対
  照として比較観察した。あわせて動物実験以外の2・3生物学的性状などを試験した。主な実験成績を綜合考察
  すると次のごとくである。(1)家兎皮内接種について:(イ)多くの非病原性抗酸性菌は接種局所に炎症をおこし、
  1週間前後で膿瘍を形成する。(ロ)膿瘍は3週間前後で治癒するものが多く、潰瘍を形成するものはまれである。
  (ハ)膿瘍形成局所皮膚の病理組織学的所見は一般に、急性ないしは慢性化膿性炎に類似するものが多く、結核
  性病巣に近い病変を認めたものはなかった。また抗酸性菌染色では接種3週間前後になお多数の例に抗酸性菌
  の存在を局所に認めた。(二)リンパ腺および内臓に病変をひき起こしたものはなかった。(ホ)10数種の菌を同時
  に接種しても死亡する事はなかった。(2)家兎膿瘍形成菌のモルモット接種について:(イ)接種局所は家兎同様
  大半は膿瘍を形成し、かつ家兎より治癒傾向は大きいようで2週間前後で瘢痕ないしは色素沈着を残し治癒する
  ものが多い。(ロ)接種局所リンパ腺が小豆大に腫脹したものはなかった。(ハ)本試験では、試獣の体重減少を多く
  認めたがその後の実験ではいずれも増加しているので、飼育上の欠陥によるものであろう。(ニ)レーメル氏反応は
  その平均成績から観察すると、接種1週間後で陽性77%、2週間後81%、3週後56%で2週間を最高とし、そ
  の後減弱していくようである。そしてBCGにまさる反応を示すものが多数存在するが結核菌に匹敵するものはな
  い。(ホ)剖検により腸間膜腺に約20%に米粒大以上小豆大の腫大を認めたが乾酪化したものはなく、また培養
  所見では菌陰性であった。その他リンパ腺及び内臓諸臓器に著変なし。(ヘ)リンパ腺及び臓器培養で抗酸性を
  証明し得たのは、接種局所リンパ腺における1例のみであった。(3)人型結核菌感染に対する免疫実験について
  非病原性接種群はいずれも対照群に比し、結核菌に対する防御力は大きくとくに鼠らい系106(20)、植物系273
  籾群の2株はBCGを凌駕する良好な免疫力を示した。平均体重増加も106(20)株は断然良好である。(4)レーメ
  ル氏反応陽性菌ならびにその菌のツベルクリン反応は結核動物に対しKoch氏現象およびツベルクリン反応陽性
  を示した。(5)動物実験以外の生物学的性状などについて:(イ)5%グリセリン寒天培地および岡・片倉培地に
  培養すると多くは一両日で集落の発生を認め、かつ集落の性状は千差万別で着色しているものが多いが、一見
  結核菌集落に類似し鑑別を要するものがある。(ロ)塩酸アルコールに対する抗脱色性及び抗煮沸性は結核菌と
  比べると著しく劣るが、一部では大差を示さないものがある。カタラーゼでも同様である。
  以上の実験成績を振り返り、2・3文献的に検討すると、結核症においてアレルギーが免疫とどのような関係にあ
  るのかという問題に関しては、アレルギーと免疫とを本質的に等しく考えるものと、アレルギーがなくても免疫発生
  が可能であるとする二派の対立がある。(中略)以上のように結核症におけるアレルギーと免疫との関係は平行
  するように見えたりあるいは相反するように見えたり、更にアレルギーには個人の素因も関連し、その本態的解明
  は未解決の問題であるが本実験においては、アレルギーと免疫とはほぼ平行するという成績を得た。そして非病
  原性抗酸性菌接種によるツベルクリンアレルギーが特異的なものなのか、あるいは体内に侵入したこれら抗酸性
  菌が異物として抗元的に作用し個体に一時的にアレルギー性現象を起こさせたものなのかは、本実験成績を解
  明する上で重要な点であるが、浅学菲才であり、先輩各位のご教示を仰ぐのみである。しかし今村が唱えた次の
  公式を重視する必要がある。「病機=素因+伝染/抵抗力+免疫」。抵抗力は非特異性免疫であり、免疫は特異
  性であるとすると本実験で、非病原性抗酸性菌が○○菌体抗酸性物質その他において人型結核菌と特異性で
  ないにせよ、非特異性免疫元として本実験成績に示したようなBCGにまさる結核感染防御効果を発揮するとする
  と結核予防上一つの光明たりうるであろうと信じる。
  結論:動物実験で、非病原性抗酸性菌は、認むべき全身毒を惹起せずしかも、結核感染防御力がBCGにまさる
  菌株が存在する事が認められ、将来これを更に広く探求されるならば、更に優秀な菌株の発見につながる可能性
  があると考える。
注目すべき事項  
本文中  
図表  
その他  
脚注・注釈  
備考
担当者の考察